キバスタ

言いたいことを言い、わがままに生きてきたキバショーのスタイルとは?

MENU

切手価格大暴落:ケインズの美人投票理論から見た切手投資を考える

小学生のころ、切手を集めていた。

折からの切手ブームが、私の故郷の田舎にも押し寄せてきて、当時小学生だった私でも、お年玉や小遣いを貯めたお金で切手を収集していたものだ。

といっても、小学生が買う切手だから、たかが知れている。1枚が、せいぜい数百円程度、高くても千数百円。

ある時、友達が1枚三千円以上もする切手を手に入れたから、それを見せてもらうために友達の家にまで行ったのを覚えている。友達が手に入れたのが、俗に「ビードロ」と呼ばれる下の写真の切手だ。

 

f:id:kibashow:20170406122751j:plain

 

当時、小学生だった私は、すごく羨ましかったのを覚えている。1枚三千円くらいの切手なんて、買えそうなもんだが。やはり、1枚の切手にそれだけのお金を払うという行為そのものが、恐ろしかったんだろうと思う。

それで、私などは、1枚数百円の切手などを集めていた。

 

当時、切手収集をしていた人にとって、なんといっても、「月に雁」と「見返り美人」は、憧れの的だった。以下の写真は、左から「月に雁」と「見返り美人」。

 

f:id:kibashow:20170406122815j:plain

f:id:kibashow:20170406122829j:plain

 

当時小学生だった我々にしても、いつかは「月に雁」や「見返り美人」を手に入れたいと思っていたものだ。

しかし、切手ブームが去ると、急に切手熱が冷めてしまった。しかも、あれほど憧れていた「月に雁」や「見返り美人」も、今、冷静になってよく見てみれば、それほど美しい切手ではないし、なんで、こんな切手にあこがれていたのか、不思議に思うくらいのクオリティの切手なのだ。

「月に雁」も「見返り美人」も、昭和20年代に発行された切手だから、今とは比べ物にならないくらい印刷技術が低いわけだ。だから、これらの切手が美しいはずがない。

ブームというのは、実に恐ろしい。「月に雁」などは切手の王様と言われたくらいだから、昭和40年代半ばには、1枚数万円で取引されたりもした。

このような、お世辞にもきれいとは言えない切手が、1枚数万円で取引されるなんて、日本中が狂っていたとしか思えない。

 

切手価格大暴落の要因

 

ところが、現在、これらの切手価格が大暴落しているのだ。過去に、あれほどの人気を誇った「月に雁」や「見返り美人」などですら、現在は、状態が極めて良くても1枚が数千円程度にまで価格が暴落している。

最盛期には1枚が数万円だったことから、十分の一にまで価格が下落してしまったのだ。

その主な要因として、ブームが過ぎ去ってしまったこと。さらに、ブーム時に購入した人たちが高齢化してしまい、売り急いでいるということが原因のようだ。

つまり、生きているうちに、現金に変えてしまおう、という切手コレクターが多いんだとか。

 

切手投資の可能性

 

なるほど。では、「月に雁」や「見返り美人」は、安値になった今が買い時なのでは?

つまり、投資の鉄則として、

みなが売っている時に買え、みなが買っている時に売れ

ということがある。

だから、みんなが「月に雁」や「見返り美人」を売っているのであれば、今が買い時だとする理屈も分かる。しかし、切手の場合、本当にこの理屈は妥当なのだろうか?

私が思うに、これらの切手に関しては、しばらく様子見がいいでしょう。というのも、しばらくの間、切手市場の落ち着きを見計らって、ゆっくりと1枚ずつ集めていくという戦略が良いと思う。

ただ、切手投資自体がダメなわけではない。今、買ってよい切手もある。

 

ケインズの美人投票理論

 

みなさんは、ケインズというイギリスの経済学者をご存じだろうか?

大学で経済学を専攻した人なら、詳しいだろう。ノーベル経済学賞ももらったほどの重要な経済学者だ。

では、ケインズの美人投票理論というのもご存知かな?

美人投票理論というのは、簡単に言えば、こうだ。

投資において重要なのは、自分が値上がりすると思うものを買うのではなく、多くの人が値上がりすると思うものを買え、ということだ。

これは、投資において重要な考え方だと言われている。例えば、株式投資において、今であれば、自動運転関連銘柄、フィンテック関連銘柄など、将来性が有望視されている銘柄ばかりを追っかけている人がいるが、それは、自分がこれらの銘柄が値上がりすると思うから投資しているんではなくて、多数の他の人たちが値上がりすると思っているから、これらの銘柄を買っているということだ。

つまり、人気のある、値上がりしそうな銘柄を予想して買うという投資行動だともいえる。

 

【スポンサードリンク】
 

 

切手投資のすすめ

 

これを、切手投資に当てはめて考えると、他のみんなが値上がりするだろうと思う切手を買えば良いということになる。

たとえば、エラー切手。色が抜け落ちているとか、印刷ズレがあるとか、そういった印刷ミスのある切手は、本来出回ってはいけないものである。

このようなエラー切手は、ときどき、テレビ東京の「なんでも鑑定団」にもでてくるが、例外なく高値がついている。

珍品度によって値段は違うが、最低でも数十万円は下らない。

でも、エラー切手なんてきれいじゃない。

そりゃ、そうだ。単なる印刷ミスだもん。所詮は、欠陥品なのだ。

しかし、だからこそ、エラー切手は値上がりする。完璧主義の郵政省が、そんな欠陥品を見逃すことなんて、本来はありえないからだ。

きれいでもないエラー切手をなぜ買うのか? それは、この切手が、その希少性ゆえに、将来値上がりするだろうと多くの人が予想するからだ。

これは、まさしくケインズの言う美人投票理論に他ならない。

しかも、エラー切手は一点ものである。購入しておけば、将来的に価値は上がるだろうと予想される。

それに比べて、「月に雁」や「見返り美人」は、200万枚くらい発行されているため、どうしても、希少性という観点からもエラー切手みたいに珍重されるわけではない。

だから、「月に雁」や「見返り美人」が、昔のように高値を付けるとすれば、切手収集家や切手投資家のすそ野が広がり、再び切手ブームが起きないと高値奪回は不可能だということになる。

 

「月に雁」投資の是非

 

そう考えると、現状から考えて、将来的に切手ブームなど二度と起こりそうもないが。こればかりは、分からない。将来、何が起こるか、誰にも分からないのだ。

私のようなアラフィフ世代の人ならば、分かると思うが。

私などが子供のころは、鉄人28号のブリキのおもちゃ、鉄腕アトムやウルトラマンの怪獣のソフビ人形などで遊んでいたものだ。

しかし、現在、これらのブリキのおもちゃや、ソフビ人形は、十万円以上の値段がついている。なかには、数十万円以上もの値段で売られているものもある。

もちろん、箱付きで、完全未使用のものに限るけれど。

しかしだ。こんなおもちゃが、将来的に数十万円もすることが子供のころに分かっていれば、誰も、これらのおもちゃで遊ばなかっただろう。砂場で遊んだり、川やプールで乱暴に扱ったりしなかっただろう。

だから、将来のことなど誰にも分からないさ。

「月に雁」が1枚5千円で買えるなら、100枚買えば50万円、1,000枚買っても500万円だ。意外に安いな。

それが、10年後、再評価されて、例えば2倍の値段になれば、年率で10%のリターンということになる。20年後に2倍になっても、年率5%のリターンだ。

うん。悪くないぞ。

マイナス金利で全く利息の付かない定期預金に金を預けておくよりも、大分マシだと思うなあ。もちろん、再び切手ブームが起これば、の話だけどね。